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Tue.01.05.2010 Comment. 0 Trackback. 0 iGoogleに追加 MyYahooに追加 はてなブックマークに追加 文字サイズ変換

田園

肉食文化の恐怖

日本で暮らしていた昔、母の夕餉の支度の手伝いに肉屋に買い物に行くことがあった。

その頃はスーパーが今ほど発達していなかったので、肉屋さんで量り売りの肉を買うのが普通だった。
日本の肉屋さんは、豚の細切れ200グラムとか、すき焼き用の牛肉を600グラムとか普通に売ってくれた。

ところがフランスへ来て驚いたのは肉屋さんが200グラム下さいなどと言うと驚いたような顔でこちらを見るのだ。

大抵のお客もキロ単位で肉を買う。tosatsu


200グラムじゃ悪いか?思い切って300グラムチョウダイと言う。あいよ?ほいきた!300だね!
大きな肉の塊をちょいと切って計りに乗せる。う~ん。400だけど。とこっちの顔を見る。
100グラム多いことなどてんで問題にならないのだ。けちけちすんな。肉はキロで買うもんだ。てな、顔をしている。いまさら100グラム削ってとは言いにくいではないか。しょうがねえや。いいよ。と言ってしまう。


北フランスの自動車工場に就職が決まり、急いでステデイオを見つけねばならなかった。
カミサンはまだパリの事務所に勤務していたので、パリ郊外のアパートは借りたまま、週末だけ帰り、週日の通勤用にその街の外れに小さなステデイオを見つけて契約をした。

部屋の窓からは向かいの広大なお屋敷の庭が見え、樹木が鬱蒼と茂って小鳥の囀りなども聞こえ、閑静な住宅街に部屋を見つけることが出来たと満足だった。

最初の晩は気が付かずに目が覚め出勤した。次の晩のこと。もう明け方近くだなと感じる時間に遠くの方で異様な音がし始めた。ドスン、ドーンと大きな重い機械が上から落ちるような音がする。どこかで工事でも始めたのか?でも、こんな時間に?

機械の音だけだったら別に不審なことはなかったろう。ドス~ン。ドオオ~ンという音に混じってなにやら機械がうなりを発しているようなのだ。ウイイ~ン。うわわあ~ん、と。最初、それは機械の回転部が摺り合って立てる音だろうと思った。遠くから、なにやら重たげな、苦しそうな唸り声が聞こえてくる。

いや、あれは、どうみても機械の立てる音じゃない。なにか動物が苦しんであげる声にちがいない。
床の中で、その音は悪夢となって聞こえ始めた。その日から毎晩、明け方近くなると決まって、その音は続いた。

どうにも気になって仕方がないので数日後、近所を探ってみた。そして、ついに発見した。
木立の背後には屠殺場があったのだ。
あの唸り声は殺される牛が断末魔にあげる唸り声だったのだ。
ドオオ~ン。ドッス~ンという機械の音こそ、首を刎ねるための刃が落ちる音だったのだ。

私は気持ちが悪くなって、そのステデイオを1月で解約し、別の街中の部屋へ移った。


 長編小説 「イカルスの墜落」 を連載中です。

 セーヌ河口の港町ル・アーヴルで起こる6人の青年と核燃料密輸との闘い。

 小説への リンク は こちら
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プロフィール

あがためのお

Author:あがためのお
フランスの田舎住まいをしてます あがた めのお です。

もう70に手が届くかという年齢です。

今までの経験を材料に幾つか小説を書きましたが、時代が変わってし
まって、小説とか文学に対する意見、評価、役割も変わってしまったようです。

そんな現代の環境の中で文章を主体にイラストも描きながら、人生を材料に表現する小説とは何かを探って行きたいと思ってます。

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